バナナ(獅子文六)を読む
本の帯に、”レトロ&ポップなドタバタ青春物語、家族、恋愛、青春、美食、音楽 文六さんの要素が詰まりまくった隠れた名作”とある「バナナ」(獅子文六、ちくま文庫)を読む。これは「コヒーと恋愛」に続いて私にとって2冊目の獅子文六作品。
昭和34年(1959年)読売新聞に連載とあるから60年前の小説だが、話の展開がスピーディーで文章も分かりやすく読者を飽きさせない。
そのストーリーは、大学生の息子がクルマが欲しくて父親から購入資金を援助してもらおうとしたが、その父親は食べることは大好きだがクルマ嫌い。そこで女友達の父親のもうけ話にのっかり、叔父の支援をうけてバナナの輸入で大金を得たことから、思わぬ事態に発展してしまう。そこに女友達のシャンソン歌手デビュー、さらに母親もシャンソンにのめり込んで小さな問題をかかえる。息子が母親の問題を解決し、最後に息子の窮地を救うべく父親が決断をするところで終わる。
「コヒーと恋愛」でも感じたが、「バナナ」も舞台を外国に移しても十分成立しそうなストーリー展開だ。1960年に大学生役に津川雅彦、その女友達役に岡田茉莉子で映画化されている。なお獅子文六の人気再燃に応じて、ラピュタ阿佐ヶ谷ではは9月1日から獅子文六作品映画の上映を予定しており、その中にはバナナも含まれているそうだ。
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