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2020/02/22

坪内祐三の「日記本」を読む

 坪内祐三の日記本を読む。そこには雑誌の連載には書けなかったことや文壇話など作家活動に関連する話に加え、日々の買い物や食事などの日常が記録されている。なかでも買い物記録がじつに面白い。

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 買い物の大きな割合を占めるのが本、新刊本に加えて古本も多い。作家活動のための資料と言っているが、その幅広い分野と量が桁違い。たとえば「本日記」2004年8月4日に”今日送られてきた「城北古書展」の目録を見る。石神井書林に「銀座百点」の創刊から平成14年までの大揃い577冊が載っている。たぶん国会図書館にも揃っていないだろうし、この雑誌の初出でしか読めない面白い座談会やエッセイがあるから”と買う気満々の様子を語っている。

 つづいて”今年は既に「週刊朝日」二千冊を買ってしまったわけだから、あと五百冊ぐらい増えても・・・ヤバイぞ感覚が麻痺してきたらしい”とある。週刊朝日の件は、”黄金時代の「週刊朝日」の二十五年分のバックナンバーを買ってしまった”で紹介されていたが、そのとき二千冊を購入しさらに五百冊を購入しようとしているのだ。その買い物パワーに驚くとともに羨ましさを感じる。

 ところで銀座百点については、その後の書中日記2006年3月に”「銀座百点」ってけっこう無礼な雑誌だね”という題で、原稿依頼をしてきた編集者へ苦言を呈している。その編集者は銀座百点500冊のことを知っていたのだろうか、いずれにしても不思議な巡り合わせだ。

 なお手元にある坪内祐三の日記本は、本の雑誌社から発行された「三茶日記」(2001年)、「本日記」(2006年)、「書中日記」(2011年)、三冊合わせて1997年10月から2010年12月の日記となる。

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