寺田寅彦「俳句と地球物理」を読む
我が家の読書週間三冊目は、寺田寅彦「俳句と地球物理」(ランティエ叢書)。
寺田寅彦は「天災は忘れた頃にやってくる」という警句の作者として知られるが、科学者であり随筆家でもあった。熊本の第五高等学校で夏目漱石の授業を受け、その後も漱石と長く交流した人物でもある。
この本の中にある「二千年前に電波通信法があった話」は、じつに面白く読めた。それは”欧州大戦(第一次世界大戦)があった頃、アメリカの大学の先生たちが戦争遂行の参考にするため古代ギリシャの戦術を翻訳研究した成果をまとめた本にあった、二千数百年前のギリシャ人が電波による遠距離通信を実行していた”という話だ。
電波と言っても光だが、それを同期信号としてとらえれば二地点間でデータ通信が出来る。さらにその原理は、電信電送・写真電送で使われている原理と同様だと語っているのだ。その連想力というか洞察力に圧倒される。たぶんどのような時代にあっても、科学者として活躍できる人だろう。
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