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2020/04/19

田村隆一「スコッチと銭湯」を読む

 我が家の読書週間、五冊目は「スコッチと銭湯」(田村隆一、ランティア叢書)。

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 詩人の田村隆一は、翻訳やエッセイで活躍したが、酒飲みとして知られお酒に関する文章を数多く書いている。この本に収録されている「スコッチ賛歌」は、まさしくスコッチウィスキーの故郷を旅する話。

 はじめにウィスキーの英語には二つのスペル(Wisky, Wiskey)があるという、クイズに出るようなプロローグから始まり。ロンドンからスコットランドのエジンバラへ、そこから西方に飛びアイレイ島(アイラ島)、さらに北東に飛んで大手蒸留所グレンダランがあるスぺイ川河口の町エルジンへ向かうなど、スコットランドに点在するウィスキー醸造所を巡る旅行記である。

  さらに旅行記録に加えて、ウィスキーの製造工程も解説している。たとえば乾燥した大麦を水につけ発芽させたものをグリーンモルトと呼ぶ。それを糖化させ濾過して糖化麦汁であるウォートをつくる。さらに発酵させアルコールと炭酸ガスをつくり、これがアルコール5%(7%-9%)のウォッシュと呼ばれるビール液となる。

 さらにビール液にホップを加えればビールになり、ビール液を二回蒸留するとローワインと呼ばれる20%のアルコールになり、これを蒸留・精製するとアルコール50%以上のスピリッツになるなど、まるでウィスキー製造の解説書のようだ。もちろんイギリス観光旅行の定番であるパブ巡りやオールドパーの逸話など気楽な話もあるが、それらも全てお酒につながるものだ。

 ところでこの本の後半は、がらっと変わって東京の谷中の話から始まり、さらに葛飾柴又へとなる。どちらも銭湯の話がでてくるのだが、それはまた別の機会としたい。なにしろ前半の話だけですっかり酔ってしまいそうだから。

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