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2020/10/04

「カレーライスの唄」(阿川弘之)を読む

 地元の駅中にある書店は、神保町の大型書店に比べればささやかなものだが、その本棚は各出版社の上澄みを並べていると思えばそれなりに楽しめる。先日、そこで「カレーライスの唄」(阿川弘之、ちくま文庫)を購入、同じ駅中にあるカフェで読みはじめた。

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 作者の阿川弘之は、いまや阿川佐和子の父親と言ったほうが分かりやすいかもしれないが、元海軍軍人であり戦争関連の作品がある。しかし乗り物好きでありユーモアのある作品も書いている。

 カレーライスの唄は、1961年の新聞連載小説。出版社に勤めていた六郎と千鶴子は、若い行動力を発揮して本の出張販売などをするがついに会社は倒産し失業してしまう。青山に実家のある千鶴子は経済的な苦労はないが、六郎は母親が一人暮らす広島の実家へ帰る。手紙でやりとりする二人は、やがてカレー屋を開くことを決心し株投資で資金をつくり実行に移す。千鶴子の父親、友人知人の助けを借りて無事開店へこぎつける。そのカレー屋を開いたのは、いまやカレーの街と知られる神田神保町。

 戦争の傷をひきづる母と子、病気療養する編集長、日の当たらない老作家など、苦しみを抱えた人物も登場する。しかし、ちょっと出来過ぎという印象もあるが、それぞれ明るい未来を迎える。人への優しさがあふれたストーリーは映画になりそうと思ったら、あとがきに1962年東映で映画化されたとあった。

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