「神保町・喫茶ソウセキ」を読む

　駅中スーパーでの買い物ついでに、駅中書店で「神保町・喫茶ソウセキ　文豪カレーの謎解きレシピ」（柳瀬みちる、宝島社文庫、2021/6）を購入。

　神保町と言えば、180軒の古書店、駅周辺だけでも約30軒のカレー店と約30軒の喫茶店があるとされている。となれば、神保町の三大要素をすべて並べたこの本のタイトルは、ちょっと盛り込みすぎのような気もするが、私自身このタイトルに惹かれて買ったので著者いや出版社の企みは成功だろう。

　ミステリーなので詳しい説明は省くが、神保町に喫茶店を開いた若き女性店主の千春と、イケメンだがちょっと面倒くさいカレー好きの作家葉山がからむ話は、いずれも古本がきっかけとなり展開する。メインは主人公である千春に降りかかる問題の解決だが、それは千春と葉山のコンビによる謎解きとなり、そこに漱石カレー、百閒カレー、子規カレーなど作家にちなむカレーの話がスパイスのように加わる。

　神保町を含めた御茶ノ水を舞台にしたミステリーといえば逢坂剛の御茶ノ水署シリーズがあるが、「神保町・喫茶ソウセキ」もシーリーズ化して長く続けてほしい作品だ。さらにテレビドラマ化もありだろう。