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2021/09/26

アカマンマの季節

 この時季の草花といえば、秋の七草。萩、尾花、葛花、撫子、女郎花、藤袴、朝顔(桔梗)、これらは万葉集に詠まれた歌によるもの。萩は草ではないというツッコミがときどきあるが、いまでもこれらの草花は話題に上ることがある。

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 上の写真は「イヌダテ」である。「イヌダテ」という名より「アカマンマ」という別名のほうがよく知られており、いまがちょうど見頃。

 このアカマンマを秋の七草の一つとした話がある。「私の植物散歩」(木村陽二郎、ちくま学芸文庫)の中に新選・秋の七草という記事があり、昭和10年頃に新聞社が著名人に呼びかけて選んだ新・秋の七草が紹介されている。選ばれた草花と選んだ人は以下の通り。

  1. 雁来紅(長谷川時雨)
  2. コスモス(菊池寛)
  3. 曼殊沙華(斎藤茂吉)
  4. 赤のまんま(高浜虚子)
  5. 菊(牧野富太郎)
  6. おしろい花(与謝野晶子)
  7. 秋海棠(永井荷風)

 雁来紅は、ハゲイトウで秋になると葉が赤くなる植物。曼殊沙華は、ヒガンバナ。「赤のまんま」は、アカマンマすなわちイヌダテだ。秋海棠はベコニアの仲間。たしかにどれも秋に見かける植物だが、なんか統一感がいまひとつなような。新・秋の七草が定着しなかったのも、何となくうなずける。

 ところで、もし令和に秋の七草を選ぶとしたら何が入るだろうか?なるべく公園や住宅地で見られるものとすると、まずは金木犀からはじめて、秋明菊、彼岸花、石蕗(ツワブキ)などが思い浮かぶ、しかしその先が続かない。最近の園芸種は開花期間が長くて、これぞ秋の花と言いにくい。

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