「Portrait in Jazz」(村上春樹) を読み直す
村上春樹の「古くて素敵なクラッシク・レコードたち」を読んでいたら、かつて読んだ「Portarait in Jazz」が気になりだした。
あらためて「Portarate in Jazz」(新潮文庫)を復習すると、これはジャズ音楽ファンである和田誠が選び描いたジャズミュージシャンの肖像画を土台にして、その上に同じジャズファンである村上春樹が文章を構築した作品だ。これだけならジャズガイド本の一つかもしれないが、村上春樹の小説家ならでは言葉選びが随所に散りばめられエッセイとしても楽しめる作品になっている。
たとえばスタン・ゲッツでは、「生身のスタン・ゲッツが、たとえどのように厳しい極北に生を送っていたにせよ、彼の音楽が、その天使の羽ばたきのごとき魔術的な優しさを失ったことは、一度としてなかった」。さらに「ゲッツの音楽の中心にあるのは、輝かしい黄金のメロディーだった」と語っている。これは音楽評論家からはまず出そうもない小説家ならでは言葉だろう。
ところで、あとがきで村上春樹が語っているが、和田誠が選んだミュージシャンには「キース・ジャレットもジョン・コルトレーンも入っていないけれど(そのかわりにちゃんとビックスとティーガーデンが入っている)」とある。これを読みビックスとティーガーデンって誰となり、youtubeで彼らの映像を探してしまった。
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