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2022/07/23

余白のある音楽

 先日、村上春樹雑文集(2011年、新潮社)を手にする機会があった。真っ先に開いたのは「ノルウェイの木を見て森を見ず」のページだが、その内容は予想どおりだったので軽く斜め読みして、「余白のある音楽は聴き飽きない」を読み始めた。

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 その中に「”ペット・サウンズ”なんか、初めて聴いた時にもいいなと思ったけど、いま考えると本当にどれだけその真価が理解できていたのかな思いますよ。あのレコードが出たのは1966年ですが、70年代、80年代、90年代、自分が歳を取って聴くたびに、いいなと思うところが増えてきた」という話がある。さらに「ビーチボーイズのリーダー、ブライアン・ウィルソンのつくった音楽世界には空白みたいなのがあるんです。空白や余白のある音楽って、聴けば聴くほど面白くなる」と続けている。

 村上春樹といえばついビートルズを連想してしまうが、これは本人が雑誌対談で「ビートルズを好きになったのは、割にもっと後のこと、40過ぎてから」と語っている。村上は、いわゆる遅れてきたビートルズファンと言えなくもない。これに対してビーチボーイズへの思い入れは、10代からはじまり長く続いているようだ。

 そういえば坪内祐三もビーチボーイズのアルバムを集めており、その話が坪内の日記本にあった。村上と坪内は、まったく違うタイプだと思うが、二人が同じビーチボーイズ・ファンとはちょっと面白い。

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