東京風土図・大型合本版
以前、面白東京本5で取り上げたた「東京風土図」の大型合本版(社会思想社、1993)を入手したので、あらためて紹介しよう。
東京風土図は、1959年(昭和34年)から1961年(昭和36年)まで産経新聞に連載された。その文章はいずれも各地域の学校の社会科教諭が執筆したもので、都内各地の「いまとむかし」を紹介している。
この連載期間は、ちょうど最初の東京オリンピック(1969年、昭和39年)の直前であり、オリンピック開発で大きく変わる前の東京の姿を記録した貴重な資料となっている。街歩きをしていると、地元の人から昔はこうだったとか、こんな建物があったとか、この通りはこうだったとか、その地域の話題がつぎつぎ出てくる。そんなとき本書を開くと、なるほどあの話はこれかとなる。
たとえば御茶水から駿河台下の地図を見ると、建て替え前の明大、多摩へ移転する前の中大、統廃合される前の錦華小や小川小、閉校した文化学院の姿がある、変わらないのはニコライ堂だけのような。このように東京風土図は、昭和30年代の町の姿を知るのに役立つ。
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