月光価千金
Our Jazz Songs(新興楽譜社)は、1937年(昭和12年)発行の楽譜集。これは昭和初期に、どのような外国曲が日本で演奏され歌われていたか知る参考資料になりそうだ。
その中には現代の分類では、これジャズですかと戸惑うものも含まれている。たとえばCaminito(思い出の小路)はタンゴだし、Sous Les Toits de Paris(パリの屋根の下)はシャンソン、das muss ein stück vom himmel sein(恋の都会)はドイツ映画会議は踊るの主題歌 。この映画の日本公開は1934年だから、当時の最新曲だろう。
もちろんMy Blue Heaven(青空)やGet Out and Get Under the Moon(月光価千金)などのジャズも掲載されている。細かい分類にこだわらず外国曲を幅広く81曲収録、しかも全ての曲に日本語歌詞をつけている。
それにしてもMy Blue Heavenを「青空」とするのはすぐに思いつきそうだが、そのまま直訳すれば「外に出て月の下へ」となりそうなGet Out and Get Under the Moonを「月光価千金」としたのは、いかにも月明りの情景を思わせる素晴らしい言葉選びだ。
この月光価千金をYoutubeで検索したら、真っ先に見つけたのは上海バンスキングでの吉田日出子の歌声、さらに検索を続けたら昭和初期に活躍した川畑文子の歌声を見つけた。下に載せたのがその川畑の歌声。1番は日本語だが、2番は英語となり、その英語は日本語より滑らかなような。じつは川畑はアメリカ生まれの日系3世で、アメリカでデビューし活躍した後に来日したそうだ。
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