JJ植草甚一ふたたび

2005/06/02

JJ 植草甚一 再び(3)

JJ 植草甚一 再び(3)

 またまた植草甚一本の新刊が出た。神田東京堂書店ふくろう店をのぞいたら、レジ近くの平台に「植草甚一スタイル」が積まれていた。発行元は平凡社、2005年5月16日初版発行、コロナブックスシリーズの118、定価1600円である。巻末によれば「太陽、1995年6月号特集、植草甚一」をもとに、加筆・再構成したものと記されている。

 植草さんのポートレートを含め、雑貨、小物、日記、スクラップブック、コラージュなどが写真で紹介されており、見るだけで楽しめる。気ままにみえて、細かい執筆スケジュール表を作っていたり、丁寧に作られたスクラップブックなど、植草さんの性格が垣間見える。一番の収穫は、まだ太っていたころの植草さんの写真が掲載されていることである。

 植草さんの写真というと、細身の体にポップなTシャツや洒落たジャケットを着た姿が多く、ずっとそのような人かなと思っていたが、若い頃(と言っても40代後半)の植草さんは、相当太っていたのである。

 ところで植草甚一再び(1)では、まだブームの確信はなかったが、最近の出版を見ると、どうやらブームは本当に来ているようである。

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2005/05/30

JJ 植草甚一 再び(2)

JJ 植草甚一 再び(2)

 植草甚一スクラップブックは、1976-1977年に出版された全41巻におよぶ。このシリーズはジャズや映画の話題が多いが、その中に「ぼくの東京案内」という散歩系の本があり、以前から読んでみたいと思っていたが、なぜか果たせずにいた。

 昨年(2004年)9月から、このシリーズの復刻版発行が始まり「ぼくの東京案内」も復刊されたので、神田三省堂で買ってきた。まだ読んでいる途中だが、「いまの東京」が、すでに懐かしの東京になっていることに気づく。例えば、「バスと陸橋」は、巻末では初出不明となっているが、内容を読むと1968年頃の東京での話のよう。植草さんは、走るバスの中から見た歩道の両側にかかる橋の名前が分からず、バスの車掌にたずねたら「陸橋です」と言われ、なんとなく納得しないまま陸橋の話題からイタリア映画の話題になり、さらにヒッチコックの話になり、最後にたまたま届いた雑誌のグラビアで橋の名前が「横断歩道橋」であることを知り終わるのである。

 バスの車掌さんについては、不思議な思い出がある。私が子供の頃、バスの車掌さんが身につけていた切符などが入るバッグは、子供のオモチャとして売られており、バスには車掌さんが必ず乗っていた。しかしワンマンバスに切り替わり、やがて車掌さんを見かけることはなくなった。ところがワンマンバスが当たり前になった1980年代はじめ、たまたま東京駅から乗ったバスで車掌さんに出会ったことがあった。ワンマンバスなので料金業務は運転手さんが行なっていたが、年配の女性車掌さんが停留所の案内をしていたのである。その後、二度と同じようなバスに出会ったことはなく、友人達に話しても、そんなのあるはずがないと言われ終わってしまった。

 この不思議な車掌さんの事はすっかり忘れていたのだが、「ぼくの東京案内」を読み思い出した。もしかして、あれは幻の猫バスだったのだろうか。誰か同じような光景を見た人はいなだろうかと、いまも思っている。

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2005/04/30

JJ 植草甚一 再び

JJという二文字を見て、何を連想するだろうか?

 OLであれば、女性雑誌のJJを思い浮かべるだろうが、ちょっと古いモダンジャズファンであれば、トロンボーンのJJジョンソンだろう。そして1960年、70年代カルチャーをリアルタイムで経験した人なら、映画評論家にしてジャズ評論家、小説評論家そして雑学エッセイストであるJJこと植草甚一だ。

 60年代、70年代に数多くの雑誌に登場していたJJだが、最近はまったく見かけることがなく、私にとっては忘れ去られた人であった。しかし、昨年10月頃、神田にある三省堂本店で植草甚一フェアが開かれ、植草甚一倶楽部シリーズ全5冊(1994年発行)があったので買ってみた。JJが現役時代、雑誌は買ったことがあったが、ハードカバーの本を買ったことはなかったので、これが初めてのJJ本の買い物である。JJの文章は、夜中にちょっと読むのに丁度よい。なにしろ話題がどんどん飛ぶので、どこから読んでもよいし、どこで中断してもよいのだ。これはベッドサイドブックに最適。

 年が明けて東京堂ふくろう店に行ったら、今度は「植草さんについて知っていることを話そう」高平哲郎(晶文社)が平積みされているのを見つけたので、これも買ってみた。こちらは2005年1月の最新刊である。この時期にJJ関係の本が、新たに出たのには驚いたが、JJの人間像がわかって面白い本である。外国の雑誌や新聞でしか情報が入手できなかった時代、ニューヨークに行っていないのに、誰よりもNYの通りや店の情報に詳しかった。その後、実際にNYに行ったらほとんど毎日古本を買っていた。外出時のファッションと全く違って、自宅では日本的生活をしていたなど話題満載である。

 JJブームが再び来るか分からないが、面白そうなものなら何でも集めてみようというJJのスピリットには、共感するものがある。今の時代にJJがいたら、毎日マイナーインターネットサイトを探し、面白い記事を我々に紹介してくれるだろう。

Dsc02224

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