路地裏風景学
2008/12/15
2008/06/10
2008/06/08
2008/05/26
アジア路地裏風景学#5:果物屋
その昔、東京近郊の駅前には、かならず果物屋があったという話をどこかで読んだ。私が乗り降りしていた駅にも二軒あったし、隣の駅にもあったので、おもわずその通りだと納得してしまった。
ペナンは鉄道が無いので、駅前の果物屋という風景はありえないし、果物は街中の屋台で簡単に手に入るので、わざわざ店を探すこともない。
そのペナンの路地で、たまたま見かけたのが、写真の果物屋長屋。右側は、まだ緑色のものから黄色く熟したのものまで、あらゆる状態のバナナが天井から床まで埋め尽くしている。左側も、天井からたくさんのバナナが吊るされ、店前左隅には緑色のパイナップルが山と積まれていた。
なるほど地元の人は、こういう所に果物を買いにくるのかと思ったら、どうもこれは卸売り屋らしい。この路地の先では、お爺さんが、バナナや果実を自転車屋台に積み込んでいた。
ところで、私が乗り降りしていた駅の前にあった果物屋は、小学校の同級生の家だった。彼の家が果物屋だというのを知ったのは、図工の時間に果物を描くとき、それまで見たこともない大きなリンゴとキレイなバナナを持ってきたときだ。リンゴは、赤いインドリンゴと黄色のゴールデンデリシャスだったような、お見舞いでもらう果物カゴの中にも、あんな見事なリンゴはなかったので同級生一同皆驚いたのだ。果物カゴは最近見かけないが、バナナ、パイナップル、リンゴなどが、竹で編んだカゴに盛られ、その底にフルーツの缶詰が詰まっていた。その頃のわが町は田舎だったが、駅前の果物屋は、八百屋さんと違って非常に高級な商品を扱っていたように思う。
その同級生の果物屋は、やがてビルになり、いまはその場所に銀行が入っている。そして、もう一軒の果物屋も、一昨年ついに店を閉じてしまい、いま駅前には果物屋がなくなった。スーパーマーケットで様々な果物が入手できるようになった今では、駅前の果物屋は懐かしの昭和風景になってしまったかもしれない。
2008/05/20
アジア路地裏風景学#4:ツバメ
最新の倉庫は、機能性優先で建てられ窓も最小限しかなく、建物に飾りなどをみることはない。
ペナンの路地裏にある倉庫、その入り口上部に風通しのためだろうか、大きな格子がはまっていた。四角な格子、その所々に鳥が飛んでいる。もちろん本物ではなく、大空を飛ぶツバメの姿をした小片がつけられているのだ。
ツバメは、古くは「竹取物語」にも登場し、農村では、ツバメが家に巣を作ると「家運が盛んになる」、そのツバメをいじめると「災いがある」とされて大事にされてきた。これは、ツバメは、農作物の天敵である害虫を食べる益鳥ということから生まれた話しだろう。都市部でも、わざわざ店の玄関の上にツバメの巣用の板を打ち付けた商店があったように、ツバメは大事にされていた。ツバメが忙しく玄関を出入りし子育てする様子は、いかにも景気がよく繁栄をイメージさせるからだろう。
さて、この倉庫、なぜツバメをつけているのだろうか、ペナンにはどのようなツバメにまつわる話しがあるのだろうか・・・。
2008/05/14
アジア路地裏風景学#3:もの干し
雨がすぎればスッキリ晴れた五月の青空と期待していたら、まるで三月のような冷たい雨の日となった。今回の路地裏風景は、そんな冷たい雨を吹き飛ばす明るいものを選んでみた。
先日、谷中のnidoで展示会をされていたneonさんが、長屋の前で洗濯物がはためく素敵な絵を出品されていたが、明るい日差しのもと洗濯物がはためく光景は、どこか見るものの気持ちを和やかにする。
写真はペナンの路地で撮ったものだが、木の棒で三脚のような台をつくり、そこに棒をわたし洗濯物をかけている。建物が取り壊された空き地を、一時的にもの干し場にしているのだろう、すべてがとても簡素に作られている。ところどころ下地の赤いレンガが見える薄いブルーとベージュの壁の前、シャツが、かすかに吹く風にはためいていた。
2008/05/12
2008/05/09
アジア路地裏風景学#1:路上園芸
先日の一箱古本市で一緒になったステキな店主さんと話したのだが、路地裏の風景は、東京も東南アジア(マレーシア・ペナン)もどこか共通したものがあるように思う。このブログでも、昨年出張でいったペナンの写真をいくつか紹介したが、あらためて路地裏風景をまとめてみよう。
緑が豊富なのであえて鉢植えなど必要ないように思えるペナンだが、実際にはごらんのような壁際に鉢植えをずらりと並べている路地がある。しかも、その植木鉢をみれば、ポリバケツや冷蔵品を入れる白い箱など、生活に身近なものをそのまま利用している。
マレーシアはイギリス統治下にあったので、イギリス文化の影響を色濃く残していると言われるが、こと路地裏風景に限ってはイングリッシュガーデンなどは無縁。植えてある木の種類や花は違うが、その入れ物である鉢と並べ方は、東京下町の路地裏の風景と全く同じと言えるだろう。
たとえば左の写真は、東京根津付近で撮影したものだが、路地に沿って各種さまざまな草木の鉢が置かれている。さらに奥の家では、つる性らしい木の枝が建物の壁を覆い、一部は左側にある街灯にからまり道路上にブリッジを作っている。
さて、この共通風景はどこから来たのだろうか?
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