ミュージック

2024/02/10

An affair to remember

 Hit Jazz Bookは、前回の月光価千金で紹介したOur Jazz Songから約20年後の1958年(昭和33年)に発行された楽譜集。

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 その目次は、ニュー・ヒット、ポール・アンカ・ヒット、エルビス・プレスリー・ヒット、映画主題歌、カレント・ヒット、ユア・フェバリット・ソングスの6グループに分けて曲名を並べている。このようにグループ分けしたなら本のタイトルはHit Music Bookとでもしそうだが、Hit Jazz Bookとしている。

 どうやら昭和の始めから30年代までは、ジャズという言葉はシャンソンやタンゴを含めて幅広い音楽に使われていたようだ。もしかしたらクラッシクでない西洋音楽ぐらいの意味かもしれない。

 ところでHit Jazz Bookに「想い出のロマンス」として掲載されている曲がある。これは1957年に公開された映画「めぐり逢い」の主題歌で原題はAn affair to remember。直訳すれば「想い出の出来事」や「記憶に残る事件」になりそうでロマンスという言葉はすぐに思い浮かばない。

 しかしBSで映画を観たらストーリーはまさしくラブロマンス、さらに歌詞のなかにA love affair to remember とありAn affairは恋愛のこと。となれば主題歌名「想い出のロマンス」もなるほどとなる。下に載せたのは映画「めぐり逢い」の主題歌シーン。

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2024/01/28

月光価千金

 Our Jazz Songs(新興楽譜社)は、1937年(昭和12年)発行の楽譜集。これは昭和初期に、どのような外国曲が日本で演奏され歌われていたか知る参考資料になりそうだ。

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 その中には現代の分類では、これジャズですかと戸惑うものも含まれている。たとえばCaminito(思い出の小路)はタンゴだし、Sous Les Toits de Paris(パリの屋根の下)はシャンソン、das muss ein stück vom himmel sein(恋の都会)はドイツ映画会議は踊るの主題歌 。この映画の日本公開は1934年だから、当時の最新曲だろう。

 もちろんMy Blue Heaven(青空)やGet Out and Get Under the Moon(月光価千金)などのジャズも掲載されている。細かい分類にこだわらず外国曲を幅広く81曲収録、しかも全ての曲に日本語歌詞をつけている。

 それにしてもMy Blue Heavenを「青空」とするのはすぐに思いつきそうだが、そのまま直訳すれば「外に出て月の下へ」となりそうなGet Out and Get Under the Moonを「月光価千金」としたのは、いかにも月明りの情景を思わせる素晴らしい言葉選びだ。

 この月光価千金をYoutubeで検索したら、真っ先に見つけたのは上海バンスキングでの吉田日出子の歌声、さらに検索を続けたら昭和初期に活躍した川畑文子の歌声を見つけた。下に載せたのがその川畑の歌声。1番は日本語だが、2番は英語となり、その英語は日本語より滑らかなような。じつは川畑はアメリカ生まれの日系3世で、アメリカでデビューし活躍した後に来日したそうだ。

 

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2023/09/06

Saiko Dayo

 男子バスケットボール日本チームが、沖縄で開催されたワールドカップでアジア1位となりパリ・オリンピック出場権を獲得した。その最終戦の相手はカーボベルデだったが、ニュースではカーボベルデを大西洋の小さな国とだけ紹介したのはちょっともの足りないような。


 じつは大西洋アフリカ沖の島国であるカーボベルデは、日本と深い繋がりがある。カーボベルデは、1960年代から日本のマグロ漁船が盛んに寄港する、いわゆる大西洋マグロの集積地。そこでの日本人漁業関係者と現地の人々との交流を通してある日本語の言葉が広まり、それは現地の曲の歌詞にも表れるようになった。その言葉が「Saiko Dayo」、もちろんこれは日本語の「最高だよ」である。

 上に載せたYoutubeは、松田美緒が2005年にリリーズしたアルバム・アトランティカに収録された「サイコー(Saiko)」のミュージッビデオ。カーボベルデ出身のセザリア・エヴォラの初期音源集も、Saiko Dayoを収録している。これはセザリア・エヴォラ20歳(1961年)の録音とされており、表記は「Sayko Dayo」となっているが「Saiko Dayo」と同じである。つまり1960年代初期から「Saiko Dayo」は歌われていたようだ。

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2023/07/28

夏らしい音楽:ボサノバ

 前回の夏らしい音楽ハワイアンの続きとしてボサノバの話をしよう。


 ボサノバは1950年代にブラジルで生まれた音楽。世界に広く知られるようになったのは、1964年に発売されたジャズアルバム:ゲッツ・ジルベルトの影響が大きいそうだ。

 女性歌手アストラッド・ジルベルトが歌った「イパネマの娘」と「コルコバード」は、もはやスタンダード曲と言ってよいほど多くのミュージシャンにカバーされている。そのゆったりしたリズムとメロディ、抑えた歌唱は、どこかクールという雰囲気がある。夏になると聴きたくなるのは、そのクールさによるものかもしれない。

 日本ではアメリカから帰国した渡辺貞夫が1967年にボサノバの曲を収録したアルバムをリリースしている。さらに1968年森山良子の「雨上がりのサンバ」、1969年ヒデとロザンナの「真夜中のボサノバ」、1975年荒井由実「あの日に帰りたい」、1976年丸山圭子「どうぞそのまま」などがつづく。

 このようにボサノバは、日本の歌謡曲に新たな音楽スタイルとして取り込まれ、昭和歌謡の一部となったのだ。

 ところでボサノバの女王と呼ばれたアストラッド・ジルベルトが、先月(2023年6月)83歳で亡くなったそうだ。

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2023/07/22

夏らしい音楽:ハワイアン

 「昔は今頃になると夏らしい音楽がどこからか流れてきたが、最近はまったく聞こえませんね」。「夏らしい音楽って何?」「たとえばハワイアンとか・・・」「デパート屋上のビアホールでやってたでしょ」など、某カフェでオジサン達のとりとめない会話が聞こえた。


 私もデパート屋上のビアホールは行ったことがあるが、そこでハワイアンが流れていたかまったく覚えていない。なにしろ日中たっぷり熱せられ屋上は、日が暮れてもまだ暑く、とても納涼という気分になれず早々に屋内に移動したからだ。

 ところで私の父親に近い世代のオジサン達の音楽体験は、いまとは少し違うような。ハワイアンといっても、ハワイにルーツを持つものだけでなく、ハワイアン風にアレンジされた曲や日本で作られたハワイアン風歌謡曲も含んでいる。

 たとえば「南国の夜」は、もともとラテンの曲をハワイアン風にアレンジしたもの、さらに「夏の日の想い出」は作詞・作曲ともに日本人でハワイアン歌手日野てる子によりヒットしたそうだ。そんなオジサン達のハワイアン話にモヤモヤしていたら、若い知人が「あれは昭和歌謡ですね」とサクッと整理してくれた。

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2023/04/22

記念にレコードを

 ときどき立ち寄るカフェのマスターから、開店8周年記念ということでシングル盤レコードを頂いた。段ボール箱の中に20-30枚ぐらいの中古のシングル盤レコードが入っていて、お好きな1枚をどうぞというもの。

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 その多くは外国ポップスだが何枚かJPOPがあり、そこから「どうぞそのまま」(丸山圭子)を選んだ。これはシンガーソングライター丸山圭子による1976年リリースのボサノバ調の曲。作詞作曲は、もちろん丸山圭子である。

 ボサノバは1950年代にブラジル生まれの新しい音楽スタイルで60年代に世界中に広まった、ゆったりしたリズムで静かな印象をもつ曲が多い。1964年に発表されたアストラッド・ジルベルトが歌った「イパネマの娘」や「コルコバード」はビッグヒットとなり、世界中にボサノバを広めたそうだ。

 そのボサノバをとりいれた曲が1970年代中頃の日本で次々生まれた。「どうぞそのまま」は、1975年にリリースされた荒井由実の「あの日に帰りたい」とともに70年代和製ボサノバを代表する曲のひとつ。


 ところで記念品としてキーホルダーやボールペンなどは頂いたことはあったが、レコードは初めてのような気がする。

 しかし家に帰りレコード全盛時代をふり返ってみたら、アルバイト先でレコードを配るのを手伝ったことを思い出した。レコードといってもそれは小さなソノシート、収録されていたのは怪獣の声、つまりお客さんと一緒にきた子供へのプレゼントだった。カフェのマスターにはとても及ばないが、私もレコードを配ったことがあったのだ。

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2022/08/21

レコード・カフェでアンフォゲッタブル

 「アンフォゲッタブル」といえば、1991年に発売されその年度のグラミー賞を受賞したナタリーコールのアルバムが真っ先に思い浮かぶ。

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 そのアルバムの中で曲Unforgettableは、父娘デュエットのように制作されていたが、父であるナットキングコールにも「アンフォゲッタブル」というアルバムがある。

 先日、甘木さんのカフェでそのLPレコードを聴かせてもらった。アルバム「アンフォゲッタブル」は、1946-1954年に録音された12曲を収録している。オリジナルは1955年発売だが、聴いたのは後に制作されたリマスター復刻盤。それはアルバム・タイトルにあるUnforgettableをはじめにToo Young、Mona Lisaなどのヒット曲が並び、まるでナットキングコールのベストアルバムのようなレコード。しかも予想以上に音が良い。

 ところで本格的なオーディオシステムでジャズを聴かせるジャズ喫茶、クラッシック音楽を聴かせる名曲喫茶などがあるが、ジャズからロックさらにポピュラーなど幅広いジャンルを聴かせる店は何と呼ぶのだろうか?

 調べてみたらミュージック・バー(カフェ)という呼び方があるそうだ。ちょっと漠然としているが、どこかオシャレな空間がありそうな気がする。さらにレコードカフェという呼び方もあり、これはちょっとストレートすぎるような。もしかしたら、店のマスターのレコード愛が強すぎてうちはCDは聴かせないなどの妄想も浮かぶ。いずれにしろ新しい動きが、いろいろ起きているようだ。

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2022/01/23

蘇るグレンミラー

 グレン・ミラーは第二次大戦中に搭乗した飛行機とともに1944年12月行方不明となり、その生涯はグレンミラー物語としてジェームス・スチュアート主演で映画化されたが、グレンミラー本人が出演した映画がある。


 銀嶺セレナーデ(Sun valley serenade)は、1941年に制作された映画。Sun Valleyというスキーリゾートを舞台にして、ノルウェーから来た元気がよい女性主人公に振り回されるラブコメディのような作品。じつはこの女性ソニア・ヘニーは、オリンピックのフィギアスケートで三連覇を果たした元アスリート、そのためかスキーやスケートシーンが多い。

 その女性主人公のお気に入りのピアニスト(こちらは俳優ジョン・ペイン)が加入しているバンドのリーダーが、グレンミラー本人なのだ。トロンボーンを吹きながら指揮をする姿がこの映画に残されている。

 上に載せた映像は、まさしく銀嶺セレナーデでの演奏シーンの一部、曲はIn the mood。この曲に加えてこの映画にはMoon light serenade, Chattanooga Choo Chooなどの演奏シーンもある。

 ところでグレンミラーの名を冠するオーケストラは、本家アメリカに加えてイギリス、EU、スウェーデンにもある。いずれもサウンドだけでなく演奏スタイルもグレンミラー・オーケストラを再現しており、なかでもスウェーデンのグレンミラー・オーケストラ・スカンジナビア(Scandinavia)は、指揮スタイルまで完璧。それが下の映像だ。


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2020/07/07

エンニオ・モリコーネのコンサート

 エンニオ・モリコーネが亡くなったとのニュースが昨日あった。彼は多くの映画音楽を作曲したが、自ら指揮する音楽コンサートも行っていた。

 上の映像は、ヴェネツィアのサンマルコ広場で行われたコンサート。曲は映画ニューシネマパラダイスのテーマ、これは説明は不要だろう。

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2020/04/25

あのディスコクイーンの曲名は

 理由は説明不要だろうが、このごろYoutubeで過ごす時間が増えている。はじめは画面に表示される”あなたへのおすすめ”を聴いていたが、ふと思いついて長年疑問に思っていた曲を探してみることに。

 以前、ある展示会で流れていた曲が気になり担当者にたずねたら、曲名は分からないが歌っているのはドナ・サマーだと教えてくれた。その後積極的に調べたことはなかったが、ときどきあの曲は何だったかと思い出すことがあった。

 さいわい歌のサビの部分をかすかに覚えていたので、聴けば分かるだろうとYoutubeでドナ・サマーを検索しリストされた曲を順に聴き、50曲目ぐらいでついにその曲にたどりついた。それはCould it be magic (邦題:恋はマジック)、初期のアルバムA Love Trilogyに収録されていた曲だそうだ。

 あらためてYoutubeで”Donna Summer Could it be magic"を検索して見つけたのが上にあげた1994年のライブ映像。そのエネルギッシュな歌いっぷりは、いま見てもぐっと来るものがある。

 それにしても長年の疑問であったドナ・サマーの曲名が判明したのはよいのだが、大切にしまっていた思い出をあっさり消去されたようで、ちょっと寂しい気もする。じつに勝手なものである。

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