自然観察

2023/01/07

赤朽葉(あかくちば)積もる

 遅ればせながら初詣のために山の寺を訪れたら、境内隅にモミジの落葉が分厚く積もっていた。

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 紅葉はすでに終わっているが、落ち葉となってもまだ赤みを保っている。この地面の光景を見て赤い絨毯と言うのは、いかにもという感じがする。それでは何と言えばよいのだろうかと悩むが、適切な言葉が浮かばない。

 冬に見かける紅葉の名残のような落ち葉の色をなんと言えばよいのだろうか?困ったときの色事典ということで調べてみたら、退紅(たいこう)という色名があることを知った。これは紅がくすんだ色とされており、鮮やかな紅葉がすこし色が抜けてきた状態を示すのに使えそうだ。

 しかしこれでは落ち葉であることが伝わらない。そこで落ち葉に関係する色を探したら、朽葉(くちば)という色名を見つけた。色サンプルは明るい薄茶色、たしかにそのような落ち葉はよく見かける。しかし落ちてなお赤いことが伝わらないと思ったら、赤みを帯びたものを赤朽葉(あかくちば)と呼ぶとある。ということで上に載せた写真を「赤朽葉積もる」としてみた。

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2023/01/01

梅ほころぶ

 新年最初の話題は、ここ数年観察している早咲きの梅。クリスマス寒波の影響だろうか、それは12月後半に3輪ぐらい咲いたところで足踏みしていた。

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 それが正月を迎えてようやく5輪を超えてきた、これなら梅の開花宣言をしてもよいだろう。

 それにしても以前は、梅の花などまったく気にもとめなかったのに、この頃はサクラより気になる。寒さにかかわらず咲く姿に、どこかひきつけられる。

 ところで、とてもかすかで気づきにくい梅の香だが、天気や風向きによっては、梅の花の近くを通ると何か空気が違うように感じることがある。様々な香りがあふれる現代でもこうだから、平安時代の人々ならもっと敏感に梅の香をとらえ感動しただろう。梅の香を詠んだのはそういうことかもしれない。

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2022/12/17

冬のカマキリ

 昼休み、窓の外側をゆっくり動く影に気づいた。

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 窓枠上辺にぶら下がるように右から左へ移動するるシルエットは、小さな頭と大きいカマのような前足と太い胴体。これは間違いなくカマキリだ!上に載せた写真は、それを室内からガラス窓超しに撮影したもの。

 カマキリを見るのは久しぶり、前回見たのは5年か10年いやもっと前か。まして寒くなったこの時季に見るのは初めてかもしれない。

 そういえば今年の10月中頃、上野公園でソメイヨシノの季節外れの開花がニュースとなった。もともと上野には、春と秋に二度咲くサクラがあるそうだが、今回は春しか咲かないソメイヨシノが秋に開花したのでニュースとなったらしい。

 となれば冬のカマキリもニュースかと思ったら、カマキリは人工飼育環境では越冬する個体もあるそうだ。もしかしたらこのカマキリもどこかで飼われていたものかもしれない。

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2022/12/03

晩秋植物図

 ついに今年もあと1か月となった、暦のうえでは初冬と言うべきかもしれないが、先週までの温かい陽気の記憶を引きずり気分はまだ晩秋のまま。

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 この時季になると、街路樹や庭木の剪定作業で掃き集められた枝葉の山を見かけることがある。先日、庭木ゴミの山から幾つか目についたものを選び出し並べてみたら、一枚の晩秋植物図があらわれた。

 写真の左上隅にある黄色はカリンの実、それに接するようにある赤い実はヒヨドリジョウゴ、緑の葉陰からのぞく小さな紅い実はクロガネモチ、少し大きなオレンジ色はクチナシの実、画面下にあるのはナンテンの実と赤く染まる葉である。さらに黄色いイチョウ葉や枯れ始めた柿の葉も色を添えている。

 冬が深まるにつれて景色は少しづつ色を失いモノクロの世界となるが、その一歩手前の晩秋から初冬はきらめくような色彩があふれている。

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2022/11/19

柿紅葉

 近くのモミジを見に行ったら、まだ青々しており紅葉には早すぎた。

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 そこで前回柿の実を見かけた場所へ向かったら、実はすでになく赤く色づいた葉が地面のあちこちに。木の枝にわずかに残っている葉は、赤に緑や黄色が混ざり表面も光沢をもっているが、地面に落ちているものは落ち着いた赤一色、思いがけない足元の紅葉見物となった。

 ところで柿紅葉は「かきもみじ」と読み、俳句では晩秋の季語とされているそうだ。

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2022/11/13

柿色色々

 今年は柿の実が少なく、それを目当てに集まる野鳥の声もいつもより静かな印象がある。

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 TVのお天気コーナーで、このところ晴天が多く冷え込みもあるので今年の紅葉は鮮やかと言っていたが、この葉の色づきを見るとそうらしいとなる。

 ところで柿色という色名があるが、その言葉から思い浮かべる色は幅広いような。その色をオレンジに少し黄色味を加えたものとしたり、もっと暗い赤茶色に近いものとするものもある。調べてみたら、果実の表面の色に近い照柿色というものと、柿渋にベンガラを加えた暗い色調の柿渋色があり、どちらも柿色と呼ばれるそうだ。

 柿の実は、はじめはミドリから黄色やがて赤みを増し、鳥がついばみ実が半分ぐらいになると赤黒くなっていく。自然の中の色は、時の流れとともに変化し、色名もそれぞれ変わる。この頃はこういう小さな変化を面白いと感じる。

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2022/11/08

2022.11.08 皆既月食

 11月8日の皆既月食を撮影。テレビのお天気コーナーで解説していた通り、影の部分が赤みを帯びている。解説ではこれを暗赤色とか赤銅色としていたが、なぜか赤い梅干しを連想してしまった。

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 19時9分ごろ、ほぼ8割が影に入った。

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19時27分ごろ、完全に影に入っている。

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2022/11/03

晩秋のアサガオ

 先週、地元のスーパーへ向かう途中でアサガオを見かけた。

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 夏は、フェンスの上にようやく届く程度の背丈だったが、電柱から斜めに張られたワイヤに絡みついてその上部に届きそうまで伸びていた。しかも花も咲いていた。

 秋も深まるこの時季に花をつけるとは、普通のアサガオではないだろうと調べてみたら、これは琉球アサガオという品種のようだ。本来は寒さに弱い品種だそうだが、とてもそのように思えないぐらい勢いよく蔓(ツル)を伸ばし花をつけていた。

 ところが昨日この場所を通ったら、ツルは枯れ花もない。ワイヤに残る枯れたツルを上から下へたどったら、フェンス一面を覆っていた葉がすっかり取り払われ、ツルも途中でばっさり切られている。晩秋のアサガオは、あっけなく終わっていた。

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2022/10/31

三日月から

 昨晩、雨戸を閉めようとしたら、西の空に三日月があることに気づいた。

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 月面の3割ぐらいが明るく輝いている、これから明るい部分が徐々に増して11月8日に満月となる。その日は日本全国で皆既月食が観察できる日でもある。次に日本で皆既月食が見られるのは2025年だから、11月8日は月を見上げたい。

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2022/10/09

ギンナンに注意

 黄葉がはじまる前のこの時季、イチョウの木を見上げると枝にたくさんの実がついているのを見かける。

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 イチョウの実、銀杏(ギンナン)について、「銀杏は大人の食べ物、子供に食べさせてはいけない」という話を聞いたことがある。これは子供のうちから美食させるなという話かと思ったら、食の危険性についての話だった。

 じつは銀杏をたくさん食べると食中毒を発症することがあり、症状が重いとけいれんしたり意識を失ったりすることがある。しかも患者の70%が10歳以下の子供とされている。その中毒は、ギンナンに含まれる成分がビタミンB6を阻害することから発症するとされている。

 何個ぐらい食べると中毒を発症するか気になるが、これは個人差が大きくてはっきりしないらしい。しかし5-6個食べて発症した記録があるそうだ。となれば「子供に食べさせてはいけない」という言葉は無視できない、とくに5歳以下の子供は注意が必要となる。やはり銀杏は大人の食べ物なのだ。

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